しかし、そんな長尺をもモノともせず、
グイグイ画面に引っ張って行く監督の手腕はお見事。
大傑作である。
(私が、ここまで言い切る作品は珍しい!)
ちなみに
本題のデビッド・ゲイルとは、作中の死刑囚(ケビン・スペイシー)の名前であり、
物語は、
女性記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)が、
彼の冤罪を実証すべく、事件の隠された真実に、どれだけ迫る事ができるのか?が焦点となる。
だが、
残された時間は、たったの三日間。
それを過ぎると、たちまち彼の死刑が執行されてしまうのである。
果たして、彼の運命は?
ビッツィーは事件の全容を突き止める事ができるのだろうか?
DVDのメイキング映像を拝見すると、
監督であるアラン・パーカー氏は、前作「アンジェラの灰」を撮り終えた後、
3年掛けて200本以上の脚本を読み漁り、
そんな中で選んだのが、本作の脚本であったとか。
それほど卓越した稿であったそうである。
そして、
何が、彼をそんなに惹きつけたのか?と言うと、
サスペンス映画にとって極めて重要な要素である、プロットが、きちんと描かれてあった事に加え、
(この点でも、1級品だ!)
背景に、
観客に喚起させる深い問題提起まで、盛り込まれていたからなのである。
(→米国における「死刑制度」の原罪)
しかし、
「死刑制度」廃止を、前面に押し出した映画になっちゃうと、
観客としては、どうも堅っ苦しくなってしょうがない。
あくまで、「死刑制度」については問題提起だけに留めておき、
主流は、物語の核であるサスペンスに眼目を置いてある所が、本作の非常にエライ所。
ドキドキ!ワクワク!を存分に堪能した上での、重いサジェスチョンなのである。
また、
デビッド・ゲイル役のケビン・スペイシーも素晴らしい。
「アメリカン・ビューティー」における彼の緻密な演技を覚えていらっしゃる方も多いだろうが、
(けど、「アメリカンビューティー」は嫌いな作品。)
その才能は、本作においても依然健在であり、
眉毛一本で表情を伝える演技力は、ただただ溜息である。
鬼才の映像に酔い痴れ、
名優の絶演に酔い痴れ、
とっくりとサスペンスの醍醐味を味わってみて欲しい。
昨今の薄っぺらいハリウッドサスペンスとは一線を画した、まさに本物志向。
めーっちゃ見応え充分の逸作なのである。
ちなみに、
本作を執筆した脚本家のチャールズ・ランドルフは、
驚いた事に、本作がデビュー作に当たる。
今後の活躍を大いに期待したい。